退職が決まりその日を迎えるにあたって、お世話になった方々に最後の挨拶をするさい、何か渡した方がいいのか、挨拶だけでいいのか?悩む人も多いと思います。
筆者は19歳から30年間の労働経験があり、最長で15年半、最短で派遣会社からの単発勤務など、さまざまな仕事をしてきました。
そんな中、退職していく人の背中を何度も見届けてきましたので、自分の退職時の経験もあわせて「お礼の品・予算・渡すタイミング・挨拶」などに関して、実録体験談としてまとめてみました。
これから退職を迎える人の、少しでも参考になれば幸いです。
- 退職する側から挨拶時のお礼の品は必要?
- お礼の品を渡す人を決める
- 予算はどれくらい?
- お礼の品選び
- メッセージカードについて
- お礼の品を持って行くとき
- 渡すタイミングや挨拶について
- 退職時の帰宅に関して
- 名付けて「退職時貯金」
- まとめ
退職する側から挨拶時のお礼の品は必要?
そもそも退職時に、お礼の品を渡さなければならないという決まりはありません。
しかし、職場の風習や勤続年数、辞める理由によりその判断はちがってきます。
ここでは、「渡す」場合について、話をすすめていきたいと思います。
筆者が経験してきた、退職時のお礼の品の統計としましては、「職場全体に菓子折り」、「密にお世話になった人へ、個別にプチギフト」と言う感じです。
と、言いましても実際ここが悩みどころですよね。
どこまでの人を個別に?人数は?予算は?など。
しかしその「悩んで考えた時間」も、自分にとって貴重な経験ですので、後悔のないように退職当日を迎えられるといいですね。
では、まず真っ先に考えるのは「誰に何を渡すのか?」です。
お礼の品を渡す人を決める
勤続年数が長くなればなるほど、人との関わりは多く深くなり、線引きがむずしくなってきます。
職場の人数が多い場合は、まずリストアップしてみます。
● 密に関わってきた人
● 職場全体
● 職場以外でお世話になった人
等々、全員に同じように、お礼の品を渡すことができれば一番良いのですが、人数が多くなってくるとそれもむずしくなってきます。
しかし、その中でも密に関わり働いてきた人がいる場合、個別に感謝の気持ちを表したいと思うのが、別れの心情だと思います。
その線引きを左右するのが「予算」であります。
予算はどれくらい?
予算がお礼の品を左右する!と言っても過言ではありません。(ちょっと大げさですかね・・・。)
実際、お金がなければ用意できませんし、人数が多くなればなるほど、どうすればいいの⁉と困惑してしまいます。
理想と現実が上手くいかず、思うように用意できないこともあります。
しかし、あなたが考え・費やしたその時間は、とても素晴らしい時間であることに間違いありません。
では実際に筆者が体験した、退職時の勤続年数・従業員数・お礼の品の値段などについてお話していきます。
すべて平均値になっています。
勤続年数が比較的長く、従業員が70人~100人くらいの場合
- 職場全体に・・・一人一個お菓子が行き渡るように2,000円か~3,000円の菓子折り(一箱だいたい平均25個~30個入りです。)
- 密にお世話になった人・・・500円~1,000円のプチギフト
- そこまで密ではないが、比較的関わってきた人・・・300円~500円のプチギフト
平均 16,000円
(3.)に関しては、する人としない人が真っ二つに分かれていました。
『そこでまで密ではない』というのは、『同じ空間にはいるけれど、仕事をする上で深く関わることはなく、雑談をするくらい。』と言った感じです。
それでも雑談をする中で、仕事をぬきにして、とても仲良くなる人もいるでしょう。
そうなると「蜜に関わってきた人」に入りそうですし、その線引きがむずしいところだと思います。
退職した後々、職場内で「あの人はもらっていたのに、自分はなかった」などと、自分が去った後の職場に、しこりが残ってしまう事にもなりませんので、そういった場合はタイミングを見計らい、個別に渡すことも必要になってきます。
勤続年数が1年~2年、従業員が30人~50人の場合
30人~50人規模の職場で、1年半~2年働いたことが3回ほどありました。
- 職場全体に・・・2,000円~3,000円の菓子折り
- 密にお世話になった人・・・500円のプチギフト
- そこまで密ではないが、比較的関わってきた人・・・なし
平均 5,000円
短期勤務の場合
働いた期間は3日や1週間、3ヶ月の短期で、会社の規模の大小に関わらず、ご挨拶のみで菓子折りなどは用意しませんでした。
平均 0円
お礼の品選び
持参する手段が自転車・電車・徒歩などの場合、かさばると大変なのでその辺りも考慮して購入すると良いと思います。
何を選ぶのかに関しては、後に形に残らない消え物が一般的で、持ち帰りに負担のないものがいいでしょう。
上司には少し高価な物をと考えたりしますよね。
しかしあまり高価な物ですと、気を使わせてしまう事になりかねませんので、その辺りも配慮が必要です。
「熨斗」に関しては、会社の風習や渡すシーンによりことなり、上司に菓子折りを渡すときは添えて、多数に渡すときはメッセージカードにするなどケースバイケースです。
皆さんが選ばれているのは、比較的軽い箱物の菓子折りで、クッキー系、サブレ、ゴーフレットなどが多いです。
個別のプチギフトに関しては、雑貨店で様々な素敵なセットがあり、お菓子や入浴剤の袋に「ありがとう・感謝」などの言葉がプリントされているものもあります。
自分でチョイスしてギフト包装してもらうのもいいですね。
こちらも数が多くなると嵩張ったり重くなりますので、全体を合わせた分量を考慮しましょう。
300円くらいのお菓子を個別に渡したい場合、なかなか思うようなお菓子が見つからなければ、箱買いしたものを自分でバラして、個包装するのも心がこもっていいと思います。
一点注意しなければならない事は、贈り物に関しては縁起物があり、ふさわしくない物を選択してしまうと、中には気にされる方もいるかもしれませんので、そういった場合は配慮する必要があります。
NGなお礼の品
避けた方がいい品物に関しては、立場などによってもNGなものがあります。
● ハンカチ
ハンカチは漢字で「手巾」となり、「手切れ」を連想させるためさけられています。
● 下着や靴、スリッパ
下着は「生活に困っている人への施し物」と捉えられる恐れがあり、靴やスリッパ、マットなどは「相手を踏みつける」という意味があり、目上の人へは失礼にあたります。
● ビジネスグッズ類
時計やネクタイや名刺入れなどは「もっと働け」という意味に受け取られる事もがあり、相手によっては贈らない方がいい場合があります。
● 文房具
文房具には「勤勉に」という意味合いがある為、目上の人に対し失礼にあたります。
● 現金
「生活の足しに」と言う意味合いで、上から目線になってしまいます。
● くし
「くし」は、「苦」「死」を連想させてしまいます。
● 割れものや刃物
割れ物は「割れてしまう・壊れてしまう」などを連想しますし、刃物は「縁を切りたい」と捉えられてしまいます。
● お茶
お茶は香典返しなどの、お悔やみの場で使われることがある為、避けた方がいいです。
しかし、上記の物全てがNGとは限りません、過去にハンカチや文具は何度も頂きましたし、実際に大変重宝したのも事実です。
頂いたハンカチは、何年経っても大切にずっと使用しています。
ですので同僚などへハンカチを贈りたい場合は、ピシッとしたハンカチではなく、タオルハンカチや裏面がスマホクリーナーになっているものもありますので、心のこもったメッセージカードを添えるなどして、温かさをプラスすると気持ちが伝わりますね。
実際に頂いたお礼の品
下記の品は過去に実際に退職した人から頂いたお礼の品です。
● ハンドクリームやボディクリーム
● 石鹸やボディソープ・入浴剤
● スティックアロマ芳香剤や消臭剤
● 文具(メモや付箋、ボールペン、卓上清掃具等)
● コーヒーや紅茶、みそ汁などのインスタント品
● お菓子
たくさんの背中を見送ってきましたが、頂いたものは消え物が多いですね。
ハンドクリームは断トツで多かったです。
では、次は筆者が実際に選んだ品についてです。
実際に選んだお礼の品
勤めてきた会社の退職時の風習にしたがい、お礼の品を用意してきました。
菓子折りはドンとかさばりがちですが、持参する手段が自転車、電車、徒歩などでしたので、なるべく厚みのない箱物のクッキー系にしました。
密に関わった人には、「ボールペン」「スカーフ」「ハンカチ・ハンドクリームのセット」「入浴剤・ボディクリームのセット」と言った、小さくセットされているギフトを選びました。
長期勤務の会社で、そこまで密には関わらなかった人に関しては、お礼の品を用意する人としない人が真っ二つに分かれていましたが、筆者は迷いなく用意をしました。
本当にささやかな心ばかりの品ですが、事務仕事でしたので「目や体の疲れを癒してほしい」という思いで、小さなプチギフトのお菓子とホットアイマスクと入浴剤を自分で包装しました。
それでも、ある程度の人数分を揃えるとなると、費用はかかりました。
しかし、ひとつひとつ個包装していると、何やら様々な思いがこみ上げてきて、熱い気持ちになれるとてもいい時間でした。
メッセージカードについて
メッセージカードは添えた方がいいのかも、悩むところだと思います。
お礼の品を手渡しできる場合は必要ないと思いますが、メッセージが添えられてあると、その文字にジンと胸が熱くなりますので、そのひと手間はしっかり相手に伝わるものです。
不在でどうしても挨拶ができず、机の上などに置いておく場合に、最後の気持ちをメッセージに添えておきましょう。
次は用意したお礼の品を会社に持参するときについてです。
お礼の品を持って行くとき
職場に持って行くときに大きな荷物の場合は、通勤手段により一度で持参する事が、不可能な場合もあると思いますので、ロッカーなど保管できる場所があれば、数日に分けて運ぶといいでしょう。
保管できる場所が無い場合、なるべく嵩張らないものを選ぶか、日を分けて渡すなどして対応するといいと思います。
渡すタイミングや挨拶について
職場の風習や、辞めていく人の価値観により、そこには様々な別れの形が存在していました。
その職場を退職すると言うことは、よほどの理由がない限り後にも先にも一度限りです。
渡り鳥が水面から大空へ羽ばたくように、後を振り返る事のないようしっかり挨拶出来るといいですよね。
渡すタイミング
基本的には退職日当日に、挨拶される人がほとんどでした。人数が多い場合は1日で全ての人に挨拶をするとなると、かなりの時間がかかるため休憩時間などを使い、タイミングよく挨拶に行くといいと思います。
1人1人とじっくり別れを惜しみたいところですが、時間に限りがあるようであれば、配り歩くことになり事務的作業になってしまいがちですが、受け取る側もその辺りに関しては、心得ている人が大半ですので、心を込めながら渡して回りましょう。
渡すときは、一番役職の高い人から、下記時間を利用して渡すといいと思います。
◆ お昼休みのお弁当を食べ終わった後
◆ その他の休憩時間
◆ 業務が終了した後
渡すタイミングは、退職日の当日が一番ベストだとは思いますが、その日に全員在社しているとも限りませんし、社外の人へとなると、尚更事前にタイミングを考えて渡す必要があります。
そういった場合は、退職日の数日前の「会えるタイミング」や「時間」を作って渡しましょう。
渡すときの挨拶
渡す時の挨拶の言葉
今までお世話になりました。どこかで見かけたら声をかけてください。ありがとうございました。」
大変お世話になりました。心ばかりのささやかな品です、本当にありがとうございました。」
など、最後の言葉を述べながら渡しましょう。
退職時の帰宅に関して
b>挨拶回りをしていると思いがけず、選別品を頂く場合があります。そんな時こちらも用意しておいて良かったと、後悔なき最終日を過ごすことができます。
そして、その荷物で大量になることがありますので、一つにまとめるなどして、気をつけて持ち帰りましょう。
名付けて「退職時貯金」
いざ退職が決まり、お礼の品を用意しようとした時に、人数が多い場合その失費に驚愕し、頭を悩ませる人も少なくないと思います。
「全員に配りたいんだけど予算が足りない。」「実際に退職した後に、あーやっておけばこーやっておけば良かった!」と後悔をする。
そんなことにならないためにも、筆者は新しい職場に勤めた時、「退職時貯金」をしています。
まさに、その名の通り「退職時のお礼の品を用意するための貯金」となります。
勤めたばかりなのに辞める時の事⁉と思いますよね。
しかし実際に、いざお礼をしようと思うと、予算という現実問題にブチ当たります。
毎月300円程度、貯金箱に貯めていきますと「3ヶ月で900円、半年で1,800円、1年で3,600円」と、着々と貯まります。
菓子折りを購入するにも、2,000円から3,000円はかかりますので、多少なりとも退職時の出費をおさえることはできます。
備えあれば憂いなしで、もし退職時に使わないとしても、もしくは余ったとしても、ちょっとした小遣いになります。
余ったお金で自分へのご褒美!なんてこともあるかもしれませんね。
お財布の中に小銭ができた時に、貯金箱に入れておくといいと思います。
まとめ
仕事を辞める理由は本当に人それぞれで、そこには様々なドラマがあります。
どんな理由であれ、職場を去るにあたり「最後だからこそ、きちんとして去りたい。」と言う真っ直ぐな気持ちは、ともに汗を流し働いてきた仲間にきっと伝わるはずです。
最終日までの残りの日々、色々忙しく大変かもしれませんが、筆者は遠くからその日々を応援しています。