とある土曜日の昼下り、突然の爆発音が近所に響き渡りました。
軽い地鳴りも体感的にはあり、隣の家で何かが爆発したように感じるくらいの音の近さでした。
窓の外を覗くと30メートルほど離れた、向かいの団地の3階のベランダから、小さな火の手が上がっていました。
その火の手は見る見る高さが増し、煙が天に立ち昇りました。
その火を見て驚くと同時に昔、我が家でも天ぷら油による火災が起きた時の炎を思い出しました。
その時の体験をお話したいと思います。
炎を前にパニックになり何もできなかったので、防火対策は重要だと痛感しましたので、家庭でよく天ぷらを揚げる方にぜひ読んでいただきたいです。
- 天ぷら鍋火災の実録体験談、発火時の対処法や防火グッズ
- 発火に至る温度や時間
- NG行動!高温油に水をかけてはいけない
- 防火グッズ
- 加熱防止付きコンロ
- 火災時に防火グッズがない時の対処法
- 火災発生後、消防が到着するまでの時間
- あとがき
天ぷら鍋火災の実録体験談、発火時の対処法や防火グッズ
「自分の家に限ってそんなことは起きない」と言う、どこからやってくるのかわからない自信があり、火災をなめていました。
それは11年前の話になるのですが、今でも鮮明に覚えていますのでお話していきたいと思います。
天ぷら鍋火災の発端となった出来事
我が家は天ぷらが大好きで、その天ぷらを食べようと鍋に油を入れ、180度になるまで我慢と思っていたところに、ピンポーンと呼び鈴が鳴り「回覧でーーす!」と言う声が聞こえました。
「回覧板か!受け取るだけなら側を離れても大丈夫かな?」と瞬時に判断し玄関へ…。
隣の奥さんが持ってきてくれたのですが、話しかけられた話題に私の脳は油の存在をどこかに追いやってしまい、10分くらい話したでしょうか。
「ん?なんか変な臭いがする。」
「ハッ⁉」と、ここでようやく油の存在が脳にカムバックし、台所へ走りました。
すると火の手が上がっていたのです!
私はパニックです。
あの炎の恐ろしさは例えようがありません。
もうどうしていいのかわからず、情けないことに大騒ぎでした。
火の側を離れたことを後悔です。
火災を前にして出来る事
まるで生き物のように、勢いよく真っ赤な炎が一気に立ち上がり、近づく事も怖くて自分ではどうにもできませんでした。
部屋にいた父に「ちょっと来てっ!」と、大声で呼びました。
一般住宅については、法令による消火器の設置義務はありませんので、我が家は消火器は設置していませんでした。
すると父がおもむろに台所にやってきて「あ〜えらいことになってるなぁ」と、とても落ち着いた様子で部屋に戻り、バスタオルを持ってきておもむろに濡らしギュッと絞りました。
そして炎に向けうまい具合に覆い被せて、魔法使いのように一瞬で消してしまいました。
普段、父は物忘れが激しく、どちらかと言うと鈍臭いタイプの人間なのですが、その時ばかりは凄い!尊敬!頼れる!等など父を褒め称える言葉が頭を駆け巡ると同時に、何故そんなに落ち着いてあの炎に近づき、火を消せたのか疑問に思い尋ねてみました。
すると、過去に母が何度か同じ事をしたそうで、その時も父が火消し担当だったとの事でした。
経験が物を言ったのですね。
父のやり方を見たので、万が一次に同じ事が起きた場合、もうパニックにならずカバーで覆い被せる事ができると思います。
もう2度と同じ事を起こさないようにしなければなりませんね。
火災を受けた壁はどうなった?
私は燃え盛る炎を見て「あ〜壁は黒焦げになるな。」と考えていました。
しかし炎を受けた壁は、まったく焼け焦げず無傷でした。
と言いますのも、壁を防火専用の燃えない壁にしていたので、本当に燃えないことが立証されました。
発火に至る温度や時間
発火に至る温度や時間について
- 火をつけてから5分後に160度に上昇し10分後には天ぷらを揚げる適温になります。
- そして10~15分後、320度に達し白煙や異臭が発生します。
- 15~25分後には360度以上になり発火します。
NG行動!高温油に水をかけてはいけない
私は「油が発火した場合は水をかけてはならない」と言う知識だけはあったので、火を見た瞬間、「鎮火=水」とはならず、ただ立ち往生すると言う情けない状態になってしまいました。
高温の油に水を注ぐと、バチバチと跳ね返り大やけどをします。
普段のお料理中も、フライパンで炒める際に油をひき、濡れた野菜を入れた場合、油が跳ねますよね?
あれの凄いバージョンです。
考えただけでも恐ろしさが想像つきますよね。
ですので、発火してしまった時に水は絶対にかけないで下さい。
防火グッズ
消火と言えば「消火器」ですね。
我が家は大きな消火器ではなくスプレー式を設置しました。
それともう一つコンロの側に、火を消す専用のカバーを備えています。
カバーは我が家も備えていますが、購入して直ぐに封を切り手の届くところに置いています。
火の手が上がってからでは、説明書きを読んでいる余裕などありませんので、購入した防火グッズの説明書は、事前にしっかり読んで備えておいた方が良いです。
加熱防止付きコンロ
加熱防止付きコンロだったのですが、それは右側のコンロが天ぷら用になっていて、そちらが感知するようになっていたのですが、私は左側のコンロで行ってしまった為に惨事を巻き起こすこととなりました。
2008年10月には安全規制を満たしたガスコンロ、PSLPGマーク付きのものしか販売してはいけない法律が施行されでいます。
我が家の新築の翌年ですね。
我が家のはそれ以前の安全規制を満たされていないコンロでした。
火災時に防火グッズがない時の対処法
濡れたバスタオルやシーツで空気を遮断するように全面を覆い、空気を遮断し油温が十分に下がるまで待ちます。
しかし、これは火の手が上がって炎がまだ小さい直ぐの場合にのみ対応できると思います。
炎に手がつけられない場合は、一刻も早く消防に連絡をして下さい。
火災発生後、消防が到着するまでの時間
冒頭で話しました、近所のベランダの火災時の消防の到着時間について参考までにお話します。
原因はボンベが直射日光で爆発したようです。
聞いたことのないすごい音で、ボンと言うよりはドーーン!と言う感じでした。
消防の到着時間は、発生から15分くらい経っていました。
発生して、即、連絡できていないからだと思いますが、消防より何よりも真っ先に鎮火に駆けつけたのは、近所のお父さんたちでした。
すごく早かったです。
あちこちから消火器を持った勇敢な年配のお父さん達が、団地の階段の踊り場と、上の階のベランダ、そして横の家のベランダから、消火剤を吹きかけ一気に鎮火させました。
ですので、消防が到着した時には火はみごとに消えていました。
普段、消火訓練をしている訳でも無いのに、素晴らしい連係プレーでした。
もしかすると、我が家の父のようにかつて消火をする場面に出くわした事があったのかもしれません。
あの時、消火器を誰も持っていなければ、確実に炎は上の階のベランダの洗濯物に引火して、炎の勢いも増していたと思います。
消火器はとても重要だなと思い知らされました。
あとがき
「備えあれば憂いなし」ですので、皆さんのお家の消火器の設置に関してや、消火対策も万全であるかどうか、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。