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老人ホームへの入居を嫌がる祖母を説得!実録体験談

親子が歩く後ろ姿

これは、祖母が高齢者施設に入居するまでのお話になります。

老人ホームへの拒絶反応の強かった祖母がどのようにして入居に至ったのか。

高齢化社会が進む中、こう言った問題は多発してくると思います。

皆、一緒に暮らすことが出来れば一番幸せなのですが、そうも行かない現実がありますので、我が家の場合のお話を一例としてお伝えして行きたいと思います。

老人ホームへの入居を嫌がる祖母を説得!実録体験談

以前、祖母と父と私と私の子供の四人で暮らしていたことがありました。

その頃、私も父も仕事をしていて、子供は学校に通っている為に家に、日中は家に祖母一人と言う状況でした。

91歳と、祖母はかなりの高齢者でしたが、とにかく頭は冴え渡り体も姿勢が良く、元気で毎日外に散歩に出かけては、近所の人や道で出会った知らない人とも、直ぐに友達になるような社交的な祖母でした。

しかし、そんな祖母も白内障が進み、視界が悪くなり散歩中に頻繁に転倒し、怪我をするようになりました。

幸い、骨が丈夫で転倒しても骨折する事がありませんでした。

心配なことと言えば心臓も弱く、過呼吸を突然起こしていたことでした。

そんな祖母との暮らしの中で、突然の怪我や突然の病気に対応ができなくなり、1つの案である「特別養護老人ホーム」が家族内で話に持ち上がりました。

祖母が抱く老人ホームのイメージ

お祖母さん

祖母は普段から老人ホームの話題を自ら語る時に「姥捨山(うばすてやま)」のイメージしか持っておらず

「家族から邪魔者扱いされて、追い出される…」

と言った考えでしたので、普段から頑固な所のある祖母なので、これはスムーズに話は進まないだろうと思いました。

「タイミングを見て祖母に話そう。」と言うことになりました。

タイミングを見て話す

そんなある日、父と祖母が何かのきっかけで大喧嘩になり、父が

「そんなに言うことを聞かないなら、老人ホームに行けばいい!」

と、捨て台詞を吐いた所、祖母が 

「老人ホームでも何でも探して来たらええ!」

と、さらなる捨て台詞を吐き、父は直ぐに役所に出向き老人ホームの一覧表を手に入れ、即座に目星をつけて問い合わせをしました。

タイミングも何もあったもんじゃなく、「売り言葉に買い言葉」の代表作のような、まったくもって最悪の状況でした。

老人ホームへの入居の説得

今や特別養護老人ホームは、一年待ちと言う所も当たり前の状態で、簡単に交通の便が良く思うような場所は空きがみつからないのですが、父が目星をつけたホームはと申しますと、丁度一部屋空いていますとの事。

と、言うことで父はさっそく祖母に老人ホームのパンフレットを見せて

「明後日、見学に行くから。」

と告げましたら、祖母は激しく泣き崩れてしまい、もう父と祖母の間にはビリビリの亀裂が入ってしまいました。

それから祖母は嫌だ!嫌だ!と、私に何とかしてくれと懇願してきました。

行くにしろ行かぬにしろ、一連の流れは行わないと父も中途半端になり、余計亀裂が深まると判断し、私は祖母に

「ただ見学に行くだけだから一度見ておいてもいいんじゃない?」

と、言いました。

施設へ見学

祖母は朝から、祖母のいつも座っている指定の位置にしっかりと座り込み、無一文字の口元のその表情からは

「断固私はここから動きません!」

と言う意思がしっかりと伝わって来て、私は「これは、ヤバイこじれる」と思っていました。

そして、出発時間が来ましたが、祖母は立ち上がろうとしません。

見かねた父が、祖母を無理にひっぱり玄関へ導こうとしましたが、祖母は途中の柱にしがみついてこう言いました。

「老人ホームなんかに行きたくない!行かない!絶対行かない!」

それを引っ張る父、抵抗する祖母。

まるで、お注射したくなーーいと泣き叫ぶ子供のようでした。

それを遥かに上回っていたかも…。

客観視していた私は、「こんなドラマみたいな状況本当にあるんだ…」と思うと同時に、祖母が可愛そうになり、そこに割って入りました。

そしてこう話してみました。

「とにかく、行くだけ行って帰って来たらいいじゃない?

でなきゃ父の気持ちも収まらないし、言ってみて嫌なら断ればいい。

2度と家に帰ってこれない訳じゃないから、それにもしかしたら凄く良いところかもしれないよ。

なんでもやってみなきゃ見てみなきゃわからないじゃない?

とにかく遊びに行くと思って行ってきて。

そして帰って来たら私にもどんなとこだったのか教えてよ。」

と…すると祖母は

「わかった、行って見る、帰ってこれるんなら行ってくる。」

と言ってくれて何とか出かけて行きました。

本当にコントを見てるような、見事な柱へのしがみつきでした。

見学から帰宅

そして、数時間後に父と祖母が帰宅しました。

玄関に迎えに行き、祖母に声を掛けようと顔を見ましたら、何とも晴れやかで満面の笑みを浮かべていました。

私は狐につままれたような表情で「えっ?」と一瞬思いましたが、直ぐに祖母の気持ちを理解しました。

「案ずるより産むがやすし」かなと。

見学後の納得・入所

そんな祖母の帰宅後の第一声が

「いいわ〜まるでホテル♪あんなところに住めるなら行くわ」

でした。

私は「そんなに良い所だったの?どんな所だったのか教えて。」と、祖母の話を聞かせてもらいました。

祖母の話をまとめると…

『そこはホテルのようで、食堂もあり、皆で集う場所では様々な催し物をして、お風呂は共同の大き目のいつでも好きな時に入浴できて、普段気分が悪くなったり風邪を引いたら、お医者さんが1階にいて見てもらえるし、毎日飲んでいる薬も管理してくれる』との旨を、少女のように目をキラキラさせて話してくれました。

何より見学した数時間で、お友達が沢山できたとが嬉しかったようです。

そこに行けば利点ばかりと察して、祖母は即決でその老人ホームへ行くことを決意しました。

見学後に意識が完璧に前向きに変わりました。

父と言い祖母と言い、即決するこの一連のお話で「親子だなぁ」と、つくづく痛感しつつ、入所があっさり決まって私も安堵に胸を撫で下ろすことが出来ました。

そして、老人ホームへ入所した祖母は亡くなるまでの十年間、101歳まで安心してホームで暮らすことができました。

動かせない人の気持ちの難しさ

個人の凝り固まった思想を溶かすのは、なかなか困難ですよね。

一番大切なのは、その人が今どんな立場でどういう風に思っているのかと、相手の立場に立つことが大切だと感じます。

しかし、自分の経験してきた事でなければ、なかなか相手の立場を100%理解することはできません。

しかし、そんな時でも

「自分ならどう言われたら落ち着くかな?どうしてもらったら嬉しいかな?」

と、考えると自然に相手にも伝わると思います。

感情的にならず、思いやりの心が凝りをほぐす事への第一歩なのじゃないかなと思います。

老人ホームってどんな所?

親子が歩く後ろ姿

祖母の入所したホームは特別養護老人ホームでした。

要介護3認定されていないと入所できませんが、祖母の場合は要支援1で、ある程度身の回りの事を出来る事が条件のプランがありましたので、そのプランで入所しました。

入所後はいつでも(インフルエンザ時期は閉館する事があります)面会に行けるので安心です。

祖母が入所していたホームは、万が一介護認定が上がって身の回りの事が自分でできなくなつても、優先して特養に入所させてくれました、一年待ちとかもなかったです。

有料老人ホームであれば、比較的待ちもなく直ぐに入所出来ますが、費用がかなり高いです。

高齢者施設はどこでも費用はかかりますが、何より四六時中一緒にいることの出来ない家族にとっては安心です。

高齢になれば、何かあれば誰か側にいる事が大切になってきますので、施設に入居すると言うことは、家族も本人も安心安全に暮らせます。

何より従業員の方々が一生懸命に親身になって下さいました。

私はとても感謝しています。

仕事をしながら高齢者と暮らすと言う事

高齢者を守る絵

孫の私が仕事をしながら祖母と暮らす中で困った事は、祖母に何かあった時に仕事に影響がでてくることでした。

四六時中、祖母の側に着いている事ができれば良かったのですが、自分が仕事を手放すということは、自分自身が生活できなくなってしまいます。

ヘルパーさんにお願いするにも限度がありますので、祖母のように頻繁に熱を出したり、怪我をする状況が続く生活は一緒に暮らす家族にとってもヒヤヒヤしながらの暮らしになります。

ですので、我が家の場合は喧嘩がきっかけになってしまいましたが、施設に入所したことで、お互い安心できる環境になれました。

あとがき

今、高齢のご家族の方の身を案じ、施設への入居を切り出せずにいたり、費用面や立地条件でなかなか見つからなかったりと、自分自身も不安な毎日をお過ごしかもしれません。

そんな気持ちも周りにわかってくれる人がいないと、どんどん孤独感が沸きネガティブ思考になってしまいがちですよね。

私自身、今、高齢の親と暮らさざるを得ない状況下にありますので、気持ちはとてもよくわかります。

いつかそう言う日が来ることも避けては通れませんので、今から色々と調べています。

家族にあった入所先を探すに当たっては、ご自分で調べることも大切ですが、お住いの役所に行けば相談もできますので、まずは最新情報を入手してみてはいかがでしょうか。

ご高齢のご家族の方が、穏やかに安心して暮らせる環境作りが整う事を、私も心から願っています。