コロナの自粛生活が始まってから、高齢の父は週に2回必ず行っていた「カラオケ」に行けなくなり、散歩にさえも行く気力がなくなってしまい、生活に動きがなくなってくると、身体機能がみるみる衰え、特に足腰の弱り方の速さには目を見張る物があります。
本当にヨレヨレの酔っぱらいのような足取りになりました。
それに伴いアルツハイマー型認知症が、少し進行していることが見ていてわかりました。
人との交流が極端に減ってしまったことや、脳への血流が少なくなったことで、薬が効いていないんだろうなと思いました。
コロナが流行る前までは、週に2回かなりの距離を歩きカラオケに通い、友達と歌やおしゃべりをし楽しんでいたので、この動きがピタッとなくなったことによる身体への影響はかなり大きく、2021年の春頃は家の中でのらりくらりと過ごし、食って飲んで寝ころんで、太って上半身がやたらに重くなり、歩くと振り子のように上半身が揺れなんども転倒!
私が「このままじゃその内に骨折して再起不能になるから、散歩には行かなきゃダメだよ。散歩に行こう!」と誘っても「行く気力がしなーい!」と投げやりになっていて、本人の危機感はゼロでした。
このままでは本当にダメになっていくのが目に見えているので、「なんとかせねば!」と思いペダル漕ぎの運動器具を購入し、運動を始めてもらったところ、漕ぐわ!漕ぐわ!どこまでも漕ぐ!
高齢者がそれだけ漕げるのだから、「このペダル漕ぎは、楽チンなんだろうな…効き目ないかぁ~。」と思っていましたが、案外、良い感じに筋肉がついているようで、ほぼ動いていないにも関わらず、漕ぎ漕ぎ運動で何とか歩行機能を維持できました。
歩行がしっかりしてくると、散歩に行く気力もわいてきて、頭もさえわたってくると言うことをこのとき目の当たりにしました。
しかしその後、父の行きつけのカラオケスナックが閉店してしまい、それを知った父は落胆し引きこもりがちに…。
するとまた身体機能が衰え始め、フラフラし始めて頭も弱ってきて、とんちんかんなことばかりし始めました。
これ以上ひどくなると身体機能を取り戻すのが大変なので、何度かデイサービスの利用をすすめてみました。
すると、「あ~っ、ワシは人見知りだから無理っ!」と、かたくなに断られる始末。
そこで、通院している医師に何か良いアドバイスはないかと求めてみたのですが、医師の提案してきたのが、同じく「デイサービスの利用」でした。
私は「あ~父は反発して嫌がるだろうな…。」と思ったのですが、驚いたことに何とも二つ返事で「行く!」…と。
「えッ!行くんかい!」と、驚いて父を二度見してしまいました。
恐るべし医師の権威性!そしてナメ散らかされていることを痛感する娘の虚しさ。
まぁ仕方ありませんね(^^;)行ってくれればそれで良し!とせねばなりません。
医師は前のめりになり「今のタイミングを逃したらダメだ!」とパンチのあるセリフを言い放ったので、父の弱った脳にばっちりヒットしたようです。
そして私のすすめていたデイサービスを、医師もすすめてきたことで、これからは父も少しは私の話も聞いてくれるかな…と淡い期待を抱きました。
そして、父はその日からやたらに張り切って散歩に行くようになり、何やら日常の動きが素早くなり、頭がさえわたってきました。
散歩前の父の、アルツハイマー型認知症の進行した行動は下記になります。
TVの番組表に表示を切り替えたまま、その文字の画面を読むでもなくずっと見ていてる。
本を読むのに時間が掛かる。
台所にお茶を汲みに行って、頻繁にコップを持たずに席に戻る。戻っても気が付かない。
炊飯器に冷めたご飯が入っているのに、開けっ放しにしているので、何でかと尋ねると「冷ましてる」と言う。
頻繁に水道を出しっぱなしにしている。
ラップをかけずに食品を冷蔵庫にしまう。
バスに乗る時に、ICカードのタッチの位置がわからなくなる。
上記の症状が次々と出てくるので「こりゃイカン!」と少し焦っていました。
自分の失敗に本人もときおりオロオロとする場面もありました。
しかし、散歩を始めて2週間目たつころには、それらの行動は気にならなくなりました。
なので、父を見ていて全身を動かし血を巡らせることが、いかに大切であるかを痛感しています。
そこで、自分自身も自粛生活で一気に運動不足になって、血の巡りが悪くなり体調を崩したので、万歩計を買って1日最低でも6000歩は歩くようにしています。
そしてデイサービスに通い始めた父は、「あんなに嫌がっていたのはいったい何だったの⁉」と冷ややかな視線をなげかけてしまうほど、はりきって通っています。
なんならお迎えの10分前に玄関から出て、到着の車を待ちわびているほどの気に入りっぷりです。
そして帰宅すると「今日はこんなことをした!こんな人がいた!こんなことができた!」と嬉しそうに話している姿を見て、とりあえずホッと一安心しています。
またいつヤル気を無くすかわからないので、その都度対策を講じて行かなければなりませんが、なにより早く新型コロナウイルスが落ち着いて、以前のような自由な世の中になればいいなと願わずにはいられません。