協議離婚することになったけど、公正証書にしたほうがいいのかなぁ….。
公正証書にするメリットとデメリットってなんだろう?
体験者の話が聞きたいな。
その疑問に実体験を通してお答えします。
本記事でわかることは下記の通り。
☑公正証書のメリット・デメリット
☑公正証書にせず後悔した体験談
離婚協議書を作成して公正証書にするとなると、「なんかめんどくさそう…難しそう…お金かかりそう。」と感じますよね。
しかし、養育費などの給付を確実なものにしたいときは、離婚協議書を公正証書にしていなければ、書面に効力がないため、相手が責任を果たさなくなったときに、回収することができなくなります。
私は20年前に協議離婚をしたが、まさにその状況に陥り、後にとても後悔しました。
離婚後も公正証書の作成は可能ですが、再び相手と連絡を取り話し合ったり、必要資料などをそろえて、離婚給付を受ける債権者側が公正役場に出向き手続きをし、その後、二人で出向く必要があります。読んでいるだけでもめんどうさが伝わってきますよね。
別れた後にトラブってからでは、なかなかハードルの高い手続きになることは想像できるので、話し合える初めのうちに、後悔ないよう取り決めることが大切になります。
そこで、この記事では、私が離婚協議書を公正証書にしなかったことで後悔したことや、実際に感じたことをリアルにお伝えしていきますので、先手必勝!で、ぜひ参考にしてみてください。
離婚協議書を公正証書にする必要性・メリット・デメリット
厚生労働省発表(平成28年度) の全国ひとり親世帯等調査では、養育費を受け取っている母子家庭は24.3%という結果がでていて、実際は取り決めさえしていないケースも多く、協議離婚書を作成したとしても、相当な理由がない限り公正証書化に至ることは少ないことが想像できます。
しかし、相手が責任や義務を果たさなかった場合、その後の生活において、「やはりきちんとしておけば良かった!」と後悔することもしばしばありますので、公正証書の必要性とメリットデメリットについてお話しておきます。
公正証書の必要性
協議で、財産分与、慰謝料など様々な取り決めをしたとしても、口約束の場合、相手が慰謝料や養育費の支払い義務を怠たったとき、「そんなこと約束してない!」と言われれば、なにも証明するものがなくトラブルになる可能性があります。
ですのでトラブルを防ぐためにも、権利義務がある場合は『離婚協議書』を作成することはとても重要になります。
しかし、離婚協議書のままでは有効性はなく、偽造される可能性もありますので、効力を発揮させるには、『公正証書』にする必要があるのです。
では、『離婚協議書と公正証書』について説明しておきます。
●離婚協議書とは、後のトラブルを避けるためにも、離婚条件を夫婦で定めておく契約書。
個人で作成することが可能で、2人で決めたことを明記し、互いにその約束を守る義務を得ることができる。
養育費や慰謝料の支払いに関しての有効性はなく、相手が約束を守らないときは裁判を起こす必要がある。
●公正証書とは、公証役場で公証人とよばれる専門家が作成する公文書で、法的効力を持ち合わせた証書。
相手が養育費や慰謝料の支払いを怠った場合は、裁判所の判決を待たずに、直ぐに強制執行手続きに移ることができるので手続を省略することができる。
相手が義務を果たさなくなった場合、申し立て手数料4000円・郵便切手代数千円で強制執行ができるので、相手に差し押さえる財産があれば回収することができる。
公正証書のメリット・デメリット
・支払いが滞った場合、裁判の判決をまたずに強制執行ができる。
・紛失しても公証役場に20年間保管されるので、謄本の再発行が可能。
・相手には心理的プレッシャーを、自分には安心感を与えることができる。
・相手が応じない場合がある。
・公正証書の作成には費用がかかる。(慰謝料や養育費、財産分与の金額合計で手数料は変わる)
・必要書類をそろえたり、公証役場のあいている時間帯に出頭する必要があり手間ヒマがかかる。
・高い証明力と執行力を持つ公文書であるが故に、適当に作成し公正証書にしてしまうと後悔することになる。
よくわからない場合は専門家に相談、作成すると安心ですが費用がかかります。その他、代理人を立てたり、出張を依頼をすると更に費用がかさむことになるので、費用や時間を押さえたい場合は、お互い協力し合いしっかり協議することが重要になってきます。
では、次章では私が、『公正証書にしなかった理由や、それにより後悔したこと』についてお話していきますので、上記の事柄をふまえつつ読み進めてみて下さい。
離婚協議書を公正証書にせず後悔した体験談
離婚協議書を作成したとき、「未来にどんな問題が起こるのか?相手がどう行動するか?」について、その地点で100%しっかりと想像することはできませんでした。
そして、離婚後できていなかった想像に巡り合い、元夫は気持ちいいほどに無責任まっしぐらに突き進んでいったため、「公正証書化しておけば良かった!」と、遅ればせながら後悔したのです。
では、下記項目にわけて解説していきます。
公正証書にしなかった理由
後悔した理由
結局後悔はどうなったのか
1.公正証書にしなかった理由
公正証書にしなかった理由は下記になります。
- 相手がきちんと行動すると思っていた
- 手続きにかかる手間や費用
- 揉めごとに疲れ果てていた
ひとつずつ解説していきますね。
●相手がきちんと行動すると思っていた
元夫の身勝手な行動により離婚に至ったので、「反省し生きていく中で、協議で取り決めた責任は果たしてくれるだろう。」と自分の価値観で考えていました。
特に養育費に関しては、父親として、「払わない」と言う行動をするわけがないと考えていました。
●手続きにかかる手間や費用
万が一、払わない時が来た場合を考え、公正証書についても調べました。
そして夫婦で最後に話し合い、手間や費用も掛かることを考え、「自分たちが、きちんとすればいい事だ。」ということで、双方納得し手続きには至りませんでした。
●揉めごとに疲れ果てていた
離婚問題で揉め散らかし、元夫の感情に振り回され、心身ともに疲れ果てていたため、一刻も早く安息を求めていたことも大きな理由の一つでした。
2.公正証書にせず後悔した理由
離婚後、元夫は自分が恨まれていることばかり気にし始め、自暴自棄になり仕事もまともに手につかない状態になり、養育費を払いませんでした。
そこで、なんとか立ち直ってもらうべく、「恨んでなんていないよ、頑張って生きてくれなきゃ離婚した意味がない。」と励まし、なんとか養育費を支払うようになりましたが、数年しか続きませんでした。
そして相手が支払わなくなったことで、下記のような問題や後悔が襲ってきました。
- 元夫への信頼がなくなり、憎さが増す。
- 養育費の未払いで、子供が悲しむことになる。
- 無責任に生きる元夫、必死に生活する自分との比較。
●元夫への信頼がなくなり、憎さが増す
責任や義務を果たさない人間に対し、信頼はなくなり、憎さばかりが増していきました。
そして、支払わない養育費や慰謝料を、毎月催促しなければならないことが苦痛に。
元夫は離婚協議書で決めた事など知らん顔で、飲んだくれ自暴自棄になり、私は毎日イライラすることになり、『むき出しにできない憎しみ』との闘いになりました。
結局、子供が成人するまでに、まともに払ったのは一時期だけでした。父親として「払わない」と言う行動をとる訳がないと、判断した自分も責めだし後悔しました。
●養育費の未払いで、子供が悲しむことになる
子供が父親が養育費を支払っていないことを知れば、「父親の無責任さ」や、「自分のことをその程度にしか思ってもらえていない」と捉え、心に傷を負うことになります。
実際に高校生の頃に、子供から「お父さんって養育費払ってるの?」と聞かれたことがありましたが、悲しむかもしれないけれど、嘘をつくわけにもいかず経緯を正直に答えました。
その時は子供は「ふ~んダメだね。」と言ってあきれた感じで終わりましたが、後に子供が結婚し自分の子を産んだ時、子を育て生活を営むことの大変さを知り、父親の無責任さを痛感する事となり、悲しむよりは「怒り」になっていました。
●無責任に生きる元夫、必死に生活する自分との比較
離婚後、養育費も払わず飲んで賭け事をし、好き勝手に生きている元夫。
ただひたすらに働き、家事や育児に追われる自分。
この比較に視点が集中していた時期は、「責任を果たさず平然と生きることが許されるなんて、世の中やったもん勝ちなのか⁉」と自分まで卑屈な考え方になっていました。
無責任な人間と結婚した自分を責め、過去を悔やみ精神的に不安定になりました。こうなると、様々なことが上手くいかなくなり、自分自身の平常心を保つことが難しくなりました。
3.結局、後悔はどうなった?
結局、裁判を起こそうにも何十万と費用もかかりますし、途中から全く連絡もつかなくなり、初めから公正証書にしておけば良かったと後悔しました。
しかし、「いつかきっと協議離婚で取り決めた事を、きちんと果たしてくれる。」と、どこかで信じ抜こうとしている自分もいました。その思いは、かつて自分の愛した人がそんな無責任ではないと信じたかったのだと思います。
しかし、自分勝手な行動を起こすような人間に、信頼など置ける場所はどこにもないと言うことをしっかりと学びました。
支払ったり滞らせたり、嘘をついたり、無視したりで、最終的には全く連絡がつかなくなった元夫の行動を、20年間見続けているうちに、「これがこの人の本性だったんだな。」と、離婚の原因にも納得がいき、気持ちの面のモヤモヤが多少解消されました。
そして、子供と『元夫について』笑い飛ばしながら語り合えるようになった今、くじけそうになっても一生懸命に育ててきて良かったと心から思えます。
あとがき
協議では養育費を月3万にしていましたが、私は3万の養育費が欲しかったわけではありませんでした。
子供のためにも、本人のためにも責任を果たすことで、未来に親子としての証と言うか、足跡にして欲しい気持ちがありました。
ですので元夫にはこう言っていました。
「仕事がうまく行っていないなどの理由があるなら、1000円でも500円でもいいから振り込んで欲しい。その積み重ねは子供にとって父親の愛情の一環にもなるから。」と。
しかしそれに対し元夫は、「そんな格好悪いことできるか!」と言ったんです。
情けなく、子供に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。今思えば、自分の考えが全て浅はかだったなと思います。
夫婦は他人でも子供と父親は血の繋がった親子です。離れていても子供は父親からの愛情をどこかで求めています。それはシングルマザーとして肌で感じました。
それに実際、子育てにはお金がかかります。離婚協議書だろうが公正証書にしようが、そんなこと関係なく、離れていても親としての意識を持ち、子を思い責任は果たすべきではないかと感じます。
この記事を読んでくださったあなたには、後悔してほしくありませんので、少しでも参考にしていただければと思います。