肺炎は、『激しい咳をともない高熱が出る』と言った症状を思い浮かべることが多いと思います。
しかし、肺気腫の持病がある高齢の父が起こした肺炎は、下記のような予想外の症状でした。
- 発熱40℃で、自覚症状なし!
- 咳は無く、発熱37℃台…。
この意外な症状…両方とも、『即入院!』でした。
父はタバコの吸い過ぎによる『肺気腫』で、健康な肺と比較すると70%ほどしか機能しておらず、以前から頻繁に風邪を引いては、咳と高熱を出していました。
70代の頃は、自ら率先して病院に行っていましたが、80代に入ってから上記のような自覚症状がない状況になりました。
『本人も周りも気付きにくい肺炎の症状』は、自分で体験したことも、周りでも聞いたこともなかったため、発見した当時なかなかの戸惑いがあり、一歩気が付くのがおくれると『あわや手遅れ!』だっただろうなと思いました。
日本で肺炎は死亡原因の第5位となっていて、誰にでも起こりうる病でもあるため、重症化する前に治療することが大切になります。
高齢になると免疫力も低下しますし、何かしら体に不調を抱える事も多く、体調を崩しがちになります。
そんな暮らしの中、一緒に暮らす私たちの存在の意味や役割は大きく、体調に目を配ることが重要になってきます。
そこで、この記事では、『気付きにくい肺炎症状』について、実体験をもとに詳しく解説していきますので、「そんなこともあるんだ⁉」と、知って頂くことで、今後のご家族の健康管理に役立てていただければ幸いです。
肺気腫の高齢者の気付きにくい肺炎症状【40℃で無自覚・発熱37℃で重症】体験談
高齢者の気付きにくい肺炎症状、下記2点についてお話していきます。
- 発熱40℃で無自覚の肺炎
- 咳は無く発熱37℃台の肺炎
本当に意外すぎる症状に自分自身も良い勉強になり、その後の健康管理に生かされています。
高齢者は入院で寝たきりになるリスクも高く、父もあわや寝たきり一歩手前!になりました。
では、それぞれについて『発症時の様子から退院後』までを解説していきます。
発熱40℃で無自覚の肺炎
父は70代に入ってから、年々風邪を引く頻度が多くなり、度々肺炎を起こし、詳しい検査をして肺気腫とわかりました。
70代のころは、熱を出すと激しい咳と高熱の辛い状態に耐えられず、自ら率先して病院に行くことができていました。
しかし80代になったある日、『発熱40℃で無自覚の肺炎』を発症しました。
肺炎発症時の本人の様子
当時81歳の父は家で熱が出ていたにも関わらず、いつもと変わらぬ様子で、ご飯を食べてテレビを見たりして過ごしていました。
しかしその夜、ずっと探し物をしたり、トイレが間に合わず漏らしたり、夜中に探し物を始めたり、奇怪な行動が目立ちました。
周りが病状に気付いた時の様子
病状に気付いたのは、翌日の夕方で、本人ではなく娘の私が気が付きました。
その日は、朝昼ともに食欲は普通でしたが、目つきが少しすわっているような感じでした。
そして夕方、突然、足に力が入らず自力で起き上がれなくなり、私が手助けしたときに、異常な体の熱さを感じ、そこで初めて発熱に気が付きました。
熱を測ると40度…。
本人が、その高熱に気付けていなかったことに、恐ろしさを感じました。
救急受診
日曜だったため、救急病院に連絡を入れてから連れて行きました。
「血液、レントゲン検査」で『気管支肺炎』と診断され、即入院。
入院中の様子
翌日から『せん妄』と言う症状が出はじめ、自分の孫もわからなくなり、意味不明な事を言ったり、叫んだり暴言を吐いたりしていました。
自分で食事もできなくなり介助が必要な状態に。
抗生剤の点滴がなかなか効かず、熱が下がったのは3週間後でした。
熱が下がると『せん妄』も治まりました。
3週間寝たきりだった為、『廃用症候群』と言って、身体機能が低下し、排せつや歩行が困難になり、リハビリに1ヵ月を要しました。
退院時~退院後の様子
1ヵ月のリハビリで、何とか歩行できるまで回復し、自宅に戻ることができました。
本人がリハビリを頑張れなければ、施設を検討していました。
自宅に戻ってから、元の生活レベルに戻すのも一苦労だったので、「もう二度と肺炎を起こさないよう」その後は、かなり神経を使い生活していました。
37度台の熱が出れば、すぐに病院に連れて行き、抗生物質で肺炎を食い止めています。
下記記事で、この時の入院に関して詳しくまとめています。
しかし、それでも2度目の重症肺炎を起こしてしまいました。
咳は無く発熱37℃台の肺炎
「目配り気配り生活」を送っていたにもかかわらず、前回の入院から2年後『37℃で重度の肺炎』に見舞われてしまいました。
この時は本当に驚きました。
発症時の本人の様子
前回の入院から毎朝、体温を測っているのですが、平熱は36.5℃くらいで、たまに36.7℃に上がることもありましたが、翌日にはまた平熱に戻っていました。
発症した日の、朝の体温は36.7℃。
前日の体温も36.7℃だった為、発熱に注意していました。
父は朝から食欲もあり、いたって普通に過ごしていましたが、昼から「眠い。」と言って、ベッドで横になりはじめました。
普段から昼寝もするので、特に変わった行動ではない為、私も掃除を開始。
周りが病状に気付いた時の様子
私が症状に気が付いたのは、寝ている父の側で拭き掃除をしているときでした。
「ヒューッ、ヒューッ」と、微かに喘息の呼吸音が聞こえました。
そして父は、両手を上にあげユラユラと揺らし、「ウ~ウ~」と唸っていたので、熱を測ってみると38.6℃に上がっていました。
またもや、日曜だったため、救急に電話をしました。
そして、病院に行く前にもう一度熱を測ると、37.8℃に下がっていて、「えっ⁉なんで急に熱下がったの⁉救急に、こんな低い熱で連れて行ったら“大げさ”と思われるかな…?」と一瞬躊躇しましたが、「肺気腫なので悪化するかもしれない!?」と考え連れて行きました。
救急受診
病院到着時の検温は37.2℃。
「こんなに急に熱下がる⁉」と、ビックリしましたが、病院につくまでアイスノンを抱えていたせいだと考えました。
病院に到着して「血液、レントゲン、尿、タン」の検査をし、炎症値が11で『重度の肺炎』と診断され即入院。
私は「病院に来る寸前に熱が下がったので、連れてきていいかな?と迷ったくらいなのですが、重症なんですか⁉」と医師に問いましたら、「高齢者の場合、熱が低くても、症状が重い場合もあるので、ためらわずに来てくださいね。」と言われました。
まさにその状態でした。
入院の部屋が決まり病室に案内され、もう一度熱を測った時も37℃台でした。
この地点で病院に着いてから、1時間は経過していたので、アイスノンの効果はなくなっているはずなので、高熱が出ていた時間は、『1時間半』ほどになります。
一瞬だけ猛烈に炎症を起こしたのか?そこのところは謎です。
入院中の様子
血液検査で『肺炎を起こしている菌』を、ある程度特定できたので、抗生剤がバッチリ効き、今回は1週間で完治!
多少の『せん妄(同じ行動の繰り返し)』と、足腰の弱りは出ていて、ベッドに腰掛けると筋力がコントロールできず、後ろに倒れていましたが、速やかに熱が下がった為、廃用症候群になることもなく、直ぐに元の生活に戻ることができました。
退院時~退院後の様子
退院時の身体機能に関しては、退院前とほぼ変わらぬ状態でしたので、退院後は直ぐに元の生活を送ることができました。
今回は前回と違い、大した高熱も出なかったのにも関わらず、重度の肺炎を起こしていたことにとても驚きました。
私が一緒に暮らしていなければ、他に気付く人もいない為、発見が遅れどうなっていたかわかりませんので考えるとゾッとします。
本人いわく、私が高熱に気付く数日前から、何となく鼻水とタンが多いなと思っていたそうです。
普段からタンがよく出るので、日常茶飯事の光景につき、周りは特に違和感を感じることがない為、気付きにく傾向にあります。
しかし、今回は本人が少し熱が高めであると自己申告していたので、警戒することで発見にいたれました。
1時間ほど前に36.7℃だった熱が、突如38.6℃に上がり、せん妄状態に陥り始めていたので、普段の平熱から0.2℃高くても、炎症を起こしているのだなと勉強になりました。
肺気腫の場合、健康な肺と比べると、少しのウイルス菌でもダメージは大きくなるので、普段から人混みを避け、部屋の温度や湿度管理にも気を配り生活しています。
その上で体温管理に気を配り、少しでも熱が上がれば、かかりつけ医に相談し、重症化を免れています。
あとがき
親と同居している場合、ちょっとした変化にも気を配れますが、離れて暮らしている場合は簡単ではありませんよね。
そんな時、できるのであれば、親には『毎日の体温と血圧測定で、健康の自己管理』をしてもらうことをおすすめします。
そうすることで、自分自身で体調の変化に気付きやすくなりますし、少し熱っぽいし不安だと感じた時は、電話連絡をもらうなどして、家族で連携をとれば、命を守りつつ絆を深めることも可能になります。
そして、高齢化社会が進み、親と同居される方も増えていると思います。
子供の頃、親に守られてきた自分の命でしたが、今度は自分が『親の命を守る立場』になることで、生活や健康管理への意識改革も重要になってきます。
誰かを守ると言うことは『自分が身心共に元気でいること』が大切になってきます。
大変な事も多々あると思いますが、くれぐれも無理をし過ぎないよう、困った時は自分も周りを頼るなどして、心の風通しを良くし体をご自愛しつつ、『守る立場』を頑張って欲しいと思います。